○歴史

インプラントの人への応用はエジプト時代にまで遡ります。当時は人や動物から抜歯した歯をトランスプラントしていました。1880年代~1900年初頭は金やポーセレンなどを、それ以降~1960年ころまではCo-Cr、Ni、人工サファイア製などのインプラントが紹介され、日本でも開業医を中心に普及した時期もありましたが、しかしこれらのインプラントは骨との界面でほとんど軟組織の介在がみられ、成功率も満足のいく数値ではありませんでした。

1965年にスウエーデンの形成外科医であるブローネマルクがチタンと骨が結合する事を発見し(1952年)、臨床応用を行いました。このチタン製のインプラントはその後カナダのトロント大学を中心に北米で普及し、日本の大学病院での導入は1983年(東京歯科大学)からでした。現在ではこのチタン製のインプラントがさまざまな改良を加えられ、世界中の受診者のQOL(Quality of Life)に貢献しています。

現在定義は変わりましたが、このチタンと骨が光学顕微鏡下で骨組織と軟組織の介在なく接触し、持続している事をオッセオインテグレーション(骨結合)といいます。

これは合成語でラテン語Os(骨)と英語のIntegration(統合、一体化)からきています。

 

○構造

主にフィクスチャー、アバットメント、上部構造の3つのパーツで構成されています。

(フィクスチャー)

歯の根に相当する部分で、さまざまな形状や長さ・太さが用意されています。顎の骨の量や元来存在していた歯の位置などにより選択します。

(アバットメント)

歯の歯冠部分を支える土台の役割をします。主にチタン製です。

(上部構造)

いわゆる差し歯に相当する部分です。金属、セラミック、チタンなどが可能です。

 

 

○日本口腔インプラント学会専門医制度

担当医がインプラントの経験がどれだけあるか患者様は判断が難しいと思います。1つの指標として、日本口腔インプラント学会が定める専門医制度があります。日本口腔インプラント学会は日本最大規模のインプラント学会で、現在会員数は1万人を超え、専門医取得のためには5年以上のインプラント認定施設での経験や論文投稿、学会発表が義務づけられています。その他の目安としては、その先生の履歴や症例数から判断するしかありません。ちなみに岡田は東京医科歯科大学を始め、眞坂歯科医院およびその他関連病院で年間約200~400本、現在までの症例数は3000症例以上になります。(ちなみに東京医科歯科大学は1996年に日本で初めてインプラント専門の科が設立された国立の歯科大学病院で、現在年間約500症例/インプラント埋入本数1500本の日本最大の大学症例数です。)

日本口腔インプラント学会専門医証と東京医科歯科大学インプラント科非常勤講師証

 

○Q and A

1、手術にかかる時間はどのくらいですか?

本数や骨移植の有無により変わりますが、1~2本であれば30~60分、それ以上であれば60~90分で終わります。通常は歯科治療と同じ局所麻酔のみで問題ありません。痛みも麻酔をしていますので、手術中はありません。

2、通院期間はどれくらいですか?

通常の手術では約2~3ヶ月の治癒期間を待って歯が入ります。骨移植などを必要とした場合は約半年かかります。通院回数は通常は5~10回程度です。

3、手術後は腫れますか?

個人差がありますが、2~3日をピークに、4日~約1週間程度で治まります。痛みは鎮痛剤を処方しますので、あまり気にならないでしょう。

4.、インプラントはどれくらいもちますか?

一般的に約10年で生存率は90%以上の報告がありますが、最近のデータではさらなるインプラントの革新により生存率は増加しています。しかし術後のメンテナンス次第で伸びることも短くなることもあります。虫歯にはなりませんので、歯周病予防が重要となります。上述のようにインプラントは100%の治療法ではありません。当医院ではメンテナンスを順守していただければ、10年の保証を行っています。

保証期間 インプラント本体10年、上部構造5年